山崎正明さん投稿のメールマガジン「学びのしかけプロジェクト」より

先日、ある先生に伝えたかったことってこういうことなんだなぁ
作品が先生側にあるのか、子ども側にあるのか
これによって表現することの意味や学びが価値あるものとそうではないとの分かれ目なんだと

山さんの現場はあと5年とききます
ぜひお伺いしたいです



以下、メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
「描きたいから描く」生徒がそう思う授業にしたい
「ワークショップ」編集委員 北海道千歳市立北斗中学校  山崎正明さんの報告です

登録していないかたは、ぜひどうぞ
とてもいろんな学びで刺激をもらってます

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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
                212号 2012年3月6日発行
                        (毎週火金日発行)
http://www.jugyo.jp/
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★目次★
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1.「描きたいから描く」生徒がそう思う授業にしたい。
            「ワークショップ」編集委員
              北海道千歳市立北斗中学校  山崎 正明
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 中学校の美術教師、山崎正明さんの最終回です。今回も読み応えずっし
り。じっくりお読みください。             (石川 晋)
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1.「描きたいから描く」生徒がそう思う授業にしたい。
            「ワークショップ」編集委員
              北海道千歳市立北斗中学校  山崎 正明
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 中学校2年生で鉛筆デッサンに取り組んできた。新卒の頃は、その題材
の位置づけは、絵画表現の基礎を身につけるというものだった。具体的に
は最初は「上靴を描く」という授業だった。

 大学や技法書、指導書で学んだことをたくさん教えた。そして、どの生
徒にも達成感を味わわせたいと思って取り組んだ。鉛筆の使い方がどうだ、
描く手順はどうだ、形がどうだ、明暗、陰影がどうだ、構図や大きさがど
うだ、まず、とにかく、それが最初だった。
 教師が的確な技法指導をし、課題意識を持たせ、きめ細かく指導すれば、
生徒の表現力は高まるし、そのことで生徒も達成感を持ち、さらに高まっ
ていくであろうとだけ考えていた。

 地域の研究会では、私の指導したデッサンが評価され、うれしかった。
そのころの研究発表には私はいわゆる表現力の高い作品だけを持っていっ
た。質の高い作品を描かせることこそが教師の力量と考えていた。コンク
ールにも出品し、それなりの成果もあった。
 そんな中ある年、体操部の生徒から、「部活動ではいている靴を描きた
いんですけど、上靴でないと駄目ですか?」と問われた。靴の種類が違う
と条件も変わってくるし、とまどった。しかし強い要望だったのでOKを出
した。その結果、体操部の生徒の多くが、上靴ではなく部活動の靴を描き
だした。体操部は出来たばかりの部活動で、やる気にあふれていた。体操
部の生徒達はこれまでにないほど意欲的に描いていた。

 次の年、転勤。同じくデッサンの授業をしたが描く対象を広げた。これ
は大事な決定だった。ある日の放課後、他の先生から「山崎先生、美術で
生徒残しているの?」と聞かれた。そんなこととは知らなかったので、そ
の教室に行った。バスケット部の生徒が5人でデッサンをしていた。びっ
くりした。そして本当に思った。彼女たちは「デッサンを通して、バスケ
ットをしているんだ!」「この絵は自分が頑張っていることの証なんだ」
 その中に小学校から絵が嫌いと言う生徒がいた。シューズの汚れやマー
クまでこだわって描いていた。彼女がこんなに描くとは!驚いた。いわゆ
る巧みな表現ではないが、迫力を感じる強い作品だった。
 感想にこう書いてきた。「私は、絵が嫌いでした。でも、このデッサン
は本当に夢中になって描けました。絵を描くのが好きになりました。」

 そのころ美術の授業を通して「自分の生き方を考える」ような授業をし
たいと漠然と思っていた。何となく何か自分なりにつかめた気がした。自
分の授業に対する意識が明らかに変わった。「描かせる絵」から「描く絵」
への転換だ。

 当たり前のことだが、「表現は子どものもの」なのだ。そして生徒自身
が絵を描く意味を見いだし、その題材に取り組む価値が見えれば、自ずと
意欲的になり、表現も高まっていくということも実感として、わかった。
これが今も私の美術の授業のベースになっている。

 授業の構成も変えた。教えるべき事は,最小限にし、実際のデッサンの
授業とは切り離してスキルとしてやるようにした。スキルの結果は何に生
かされるかも説明した。
 また、教室の中で教え合う場を取り入れた。

 こうした授業改善によって、それまで指導してきた作品よりは、表現力
もはるかに高まった。そして何より生徒の学びが主体的になっていった。

 そして大きく変わったのは生徒の内面であろう。最初の頃の指導では、
作品を描き終えての感想を書いてもらうと、当然ながら技法面のことしか
描かれていなかった。今は、自分が描いたモチーフを選んだ理由や、その
モノへの思いなどが、書かれるようになってきた。制作を通しての生徒と
の会話の内容も変わってきた。それまでは技法指導のみであった。

 生徒の作品が「生きる証」となるような、生徒自身が思いを込めて、「
描きたい!」と思うような、そんな授業をしていきたい。

 上士幌中学校で石川先生の「作家の時間」での出来事。私が、作文を書
いている生徒に「楽しい?」って聞くと笑顔で「最高です!」ってかえっ
てきた。表現の喜びを味わっていた。あ、同じかなって思いました。

授業づくりネットワーク誌の最新号
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【編集後記】
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 山崎さんとはこの冬、お互いの授業クラスを行き来しました。
 私が山崎さんの美術授業を見た時に、あ、これはぼくが行っているライ
ティングワークショップ(作家の時間)と同じだと思いました。質的な向
上を目指していないわけではありません。しかし何よりも「表現は子ども
のものだ」を信じているところが一緒だと思いました。子どもたちが仲間
と語り合い、自分と向き合いながら作品を創り上げていく。そこに大げさ
でなく日本の未来を託したいという思いを持つのです。
 山崎さんとは、「孤独に闘ってきたけれど、ちゃんと同じように考えて
いる実践者がいるんですね」という喜びを分かち合いました。
 もっとも、私のライティングワークショップの時間は、山崎さんの美術
クラスの域にはまだまだ到達していません。

 次号は、金曜日。インクルージョンチームから池田康子さんです。
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メールマガジン「学びのしかけプロジェクト」
第212号(読者数1879) 2012年3月6日発行
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