石川晋さんのクラスを訪問その3「本物と出会う総合的な学習の時間」



石川晋さんのクラスを訪問したときの様子について
今度は私自身にこってりフォーカスしてふりかえりをしてみました

その1 「中3のクラスに飛び込み授業をすることに」
その2 「準備、準備、準備」
その3 「チャラにしてください」
その4 「大人トーク」

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中学生がジャーナルに描いてくれた私の似顔絵 自分で「イガセン」と呼んでいます

その1 「中3のクラスに飛び込み授業をすることに」

クラス見学をお願いした後に、石川晋さんから総合で得意なことを授業をやってほしいことをたのまれました
何をやっても良いとのこと
そのときは、気軽に承諾してしまったのですが、現実はそんなに甘くはなく後々になって考えてみると
「一体自分になにができるのだろう…。」
と悶々と考え始め一度はお断りをしたものの
「本物の授業やってください」と再度連絡をいただき、
「そうかぁ本物かぁ、本物、本物」と浮かれてしまい授業を受けてしまいました(笑)
見学しに行くはずが、緊張しに行くことになりはじめたのがこの頃からでした

そんなプレッシャーの中、メールをいただき「PA(プロジェクトアドベンチャー)やって」とのこと
ふむふむ、それならクラスで実践していることを持って行けそうだと一安心
またまたしかし、私自身、PAの公式なワークショップを受けたことは一度もなく
本で読んだことや聞きかじり、あとは仲間のワークショップで学んできたものを土台としてやっています
「本物」と呼ぶには…。
でも、もう後戻りできないことを知り
腹を決めて一からPAを学び直すことにし、徹底的に本をまず読みました


中でもこの本が一番参考になりました
振り返りの意味や手順などが明確で再現性も高い
この本は秀逸です
PAについてじっくりその理論や実際を学ぶには日本語で出版されているものでは最高だと思います
以前、一度読んだこともあるのですが
そのときのモチベーションは異なりまったく読んで理解する世界が違いました



その2 「準備、準備、準備」
実際に何をやろうか迷い迷い
何でもOKとのことで、子どもたちとこの1年の間、とくに取り組んできたパイプラインをやることに
パイプラインは私の中でもとても好きなアクティビティの一つ
頭では仲良くやろうわかっていてもついつい本音がでてしまう力を持っています

LAFT(勉強サークル)では模擬授業を行い
10人の先生たちからも実際に正直なフィードバックをもらいました
模擬授業後はファミレスでひたすらアクティビティ設計について検討

ゴール設定
グループサイズ
生活グループや男女の割合
ボールの種類とその数やバランス
ボールを運ぶ距離
落としてしまったらリセットルールをどう適用するか
アクティビティに用いるファンタジーとその効果「卒業ファンタジー?」「熱帯魚ファンタジー?」
ふりかえりの人数
ふりかえりの手順
などなどなど、平日なのに深夜の0時をまわっていました

年間何回やれるかの研究授業なみにみんな熱心に参加してくれました
模擬授業の検討でファシリテータークニから貴重な指摘
「さっきのアクティビティはゴールとアクティビティのふりかえりがつながっていない」とのこと
アクティビティからの学びを一般化することがゴールなのか
それとも徹底的に楽しむためがゴールなのか
その部分が混沌としてたのが路程したのだと理解しました

やはりゴール設定するためにも、参加者、対象を理解する必要が強くあり
それによって初めて効果的なゴール設定やプログラムが組めることを改めて確認
ここに、「飛び込みで授業すること」の難しさを感じざるを得ませんでした

一体、どんな様子の子どもたちなんだろうか
受験全日の中3の子どもたちにどんなアクティビティができるのか…

その後、晋さんとはメールのやりとりを何回かしつつ
パイプラインを「みんなで楽しむ」デザインに決め、仕上げていきました
担任しているクラスでも、6年生のクラスでもやらせてもらい(ここではミニアクティビティ集)
異なる集団でこんなにも様相がかわるので
その都度その都度ライブでアレンジしてくこと必要性を感じていました

結局、決めるのは自分

私自身ができることは、等身大のことしかできないのだと、開き直りプログラムを2つに練り直すことに
「対立をおさえつつ楽しめるパイプライン」と「徹底的に楽しむミニアクティビティ集」
このふたつを準備し、実際に子どもたちにあってからその様子によってどちらかを採用しようと決めました
でもメインはパイプライン、どうしてもって時のためにミニアクティビティ集で
そんな気持ちで準備をしていました

パイプラインの活動を50分以内で収めることは難しく
今回そげるところは徹底的にそいでいくことにしました
セリフの一語一語のチェック、うっかりすると説明の10分間があっという間に押してしまいました
それでも、フルバリューコントラクトやファンタジーを用いる話は削れません
結局、グループにおけるゴール設定やモニタリングパートナーなど省くことに
やればやるほど、きりがなく終わりのないような気分でした

一方のミニアクティビティ集は実際に体験してきたものの中から取り上げました
以前西多摩PACEに参加したときニノさん(二宮孝さんNPO体験学習研究会 プロデューサー)のアクティビティを体験したことから
そしてLAFTでクニに毎回ミニアクティビティ集をやってもらっていたことなどを参考に組み立てました
今までの本やワークショップで体験したものの中から選んでいます
もちろんキャンプリーダーでやっていたときのアクティビティも含まれています(何年前?笑)
プログラムは、できるだけ参加度の低いものから組もうと
アイスブレイクでちょっと笑いが起こるものからはじまり
ペア活動、それに馴染んできたらペア同士のグループ活動でグループサイズを大きくし
最後は全員でサークルを自然に作れるようにしました
そして、簡単なスキンシップ、手つなぎなどへとつないでいき、最後は笑って終わり

予定していたプログラム(名前はアレンジされています)を列挙すると
クラスネームづくり(クラスで取り組んでいる呼ばれたい名前)
静かをつくる(せいこさんからのWSで体験したもの)
とんとんかんな(まちがいを温かく笑えるアクティビティ)
エスケープ(輪になって動物飛び越える遊び)
チェックイン(自己紹介)
ネームHT!(名前を声に出して)
スターウォーズ(指フェンシング)
北斗の拳(ひたすらパンチ)
天下一武闘会(エルボータッチ)
かめはめ波(ビート)
少女時代(つま先タッチ)
キャベツ太郎(キャッチ)
インパルス(ここで手をつなげます)
ハブユーエバー(フルーツバスケットの自己開示板)
スピードラビット
アニマルキングダム(コアラ・蛇・像・カメを模すもの、スキンシップが増えます)

でも、振り返ってみると、こうやって準備しているときが一番学んでいたときだと思います
それまでにクラスでやっていたことと、今だからできることとはまだまだ大差ありません
でも、理論やその背景を学習したことで安心してアクティビティに望めるようになった気がします

そして、石川晋さんの学校ではPAに興味を持ち始めた若い先生方も
ぜひ参観したいとの旨のメールをもらい
それならなおのこと、再現性の高いものにしていかないととまだ一思案
できるだけ簡単に、できるだけわかりやすく
使った道具もできるだけ全部置いて帰れるように2部ずつ準備しました(一部は私のクラス様です)
実は、よくよく考えてみるとうっかり「みせる」にシフトしてしまう授業はのちのち苦しめられることになりました




その3「チャラにしてください」
色々準備したことを果たしてチャラにできるでしょうか?
私は行きの飛行機では80%「パイプライン」をやることに決めていました
導入の語りを反芻しながら何度も繰り返していました

今回の子どもたちは中学校3年生
受験前のプレッシャーの中
本当に対立が生まれるかもしれないようなアクティビティをやっても良いのかと
最後の最後まで迷っていました

子どもと実際に会ってから決めようと思いつつ
1時間目の子どもたちの様子を見てもパイプラインに踏み切れないでいました
PAの導入からふりかえりまでを見せなくてはいけないような気がして

前の日に石川晋さんと話をしていたときに
「今は受験前だから卒業式の選曲をする気持ちでは無いよ。トランプでも~!」
といった対話を子どもたちとしている場面を話してくれていました
そして、晋さんはFUNでいいよFUNでといっていました

PAのアクティビティには強烈な感情を引き出す力があります
そういった感情を手がかりに自分とじっくり向き合うには1時間は短すぎます
ましてや、1回限りの授業で、私は去っていってしまう身
あまりにも無責任というもの
余談ですが、学生の頃、感情を操作するようなキャンプファイヤーは大嫌いで
盛り上げたり盛り下げたり…
ですからキャンプの最後はそれぞれのおもしろいことを出し合う「お祭り」に凝っていました
この頃から軽々しく感情を扱うことの危惧や責任を感じていたのかもしれません

結局2時間目の音楽の様子を見て、やっぱりプレッシャーをかけられないなぁと思い
色々準備してきたパイプラインをやめることにしました
一体何が入ってんの?と聞かれる26kgもの大型スーツケース
その中に入っているアクティビティグッズはすっかりすべて今回は封印することに笑

授業を子どもたちに届けるには、こういった準備を一切捨てられるかにかかっていました
自分の準備だけならいざしも、LAFTのメンバーにもたくさんのアドバイスをもらっているだけに、申し訳ない気持ちもありましたが、エンドユーザー、一番大事なのは子どもだなぁと、その準備一切をきっぱり捨てられました
このへんの苦悩は苦しかったなぁ
1、2時間目の晋さんの授業を参観のはずが、自分の授業のアセスメントになってしまっていたから笑

やっぱり、受験前もあってFUN(楽しい)を今回のアクティビティのゴールにすること
このFUNをゴールにすることは、私の中でも大事にしているテーマでもあります
学ぶことを楽しむことにもちろんつながりますが
やはりFUNはものごとのベースにありたいもの
楽しい体験やコミュニティがあるからこそ、安心して関わったり新しいことにチャレンジできる
今日の1時間は徹底的に楽しんでもらい、受験に向けて挑戦しに行ってほしい
そんな願いがありました

さて、そんな中学3年生の34人
私とは全く面識もありません
今まで私がアクティビティやワークショップをするときの参加者は
基本的に参加したい人や興味のある人でしたのでこういった活動が成立しやすい場でした
しかし、今回は完全アウェイで思春期まっただ中の中学3年生
アクティビティに乗ってこなかったらどうしよう?
今までやってきたことが通用しなかったらと…と思い始め
勝手に緊張しはじめることに汗

最初にガムテープにクラスネーム(呼ばれたい名前)を書いてもらうところからスタート
どうかな?動けるかな?そう思案していると
子どもたち数人が動き始め、サークルとつくりはじめスタートをきることができました
ファシリテーターの言葉を受け入れてもらえたところで、この場を動かしていけるようになります
私は受け入れてもらえた、と安心感とともに今日はうまくいくだろうなと感じていました
小さな指示だけれども、子どもたちが私を認めてくれた場面で、私の授業フレームに乗っかってくることを確認できました

山崎さんが後でいうには
「小学校の先生がなんで中学校にくるんだよというのが普通の反応
楽しかったから、よく子どもたちは参加していたよ」と言ってもらえました
晋さんも同じように、あの名前を書いているところで今日はうまくいくと話していたそうです

途中、ハブユーエバーで前にペアで出てくる場面から動きが見られなくなってきたので
サークルの真ん中へ出てくることがハードル高かく、このままいったらトーンダウンしていくこと必須
「ごめんね~、準備不足でした、これチャラにしてください!」を使いました笑
晋さんは「人がつかっているのを初めて観たー」と喜んでくれていましたが
このへんはもう少し丁寧に組み立てておくべきでした

活動途中、チャレンジバイチョイスをする場面が自然とでてきました
「ビート」で人数が増えたとき、うまくいかず最後まで残っていたチームへ
「もう一回やる?」ヤルかやらないかを聞く場面が2回ほどあったかな
みんなは温かく見守ってくれてもいましたが失敗、
「もう一度やる?」と尋ねました
「やめるー」と選んでいたので、無理にごり押しせずに次のアクティビティへ
この場面のやりとりが良かったと後で言ってもらえました

今回は、チャレンジバイチョイスについては時間の都合上なんら伝えてはいません
でも、周りに認めてくる応援してくれる仲間がいるからこそ、チャレンジしたりストップをかけてみたり
小さな場面だけどそんな姿も見られました
これもクラスが成長しているからこういう雰囲気の中でできた証し

最後の振り返りは親指メーターで「おもしろかった」「ふつう」「ざんねん」だったの3つで気持ちを表しました
みんな上を向いてくれていてなんとかホッと一段落

でも、楽しむがゴールならもっと徹底的に笑いまくれるアクティビティを組んでおきたかったと猛反省
小学生相手とやはり反応が違うんだなぁとあらためて気付きました
その夜の飲み会でも、私はずっと落ち込んでいて3時間目の話題に触れようとしなかったのですが
横浜から来ていたヒロッキーが「よかったよかった」と一番喜んでくれていました
でも、あえて言うなら「ズボンがぴちぴちだった」と山崎さんからのフィードバック
笑いとともに立ち直りました笑

まな板の上の鯉とはよくいったものでこんなに色々逡巡しながら参加した授業見学はありませんでした
だからこそ、とても鍛えられました
晋さんのクラスだからこそ成立できた活動がたくさんあったはず
まだまだ修行の身です



その4「大人トーク」

3時間目のPA授業を何とか終え、4時間目は石川晋さんとの対話を生徒たちに見せる時間
石川晋さんは「本物、プロを教室に呼んで対話をする」ことに学びの価値を置いています
この授業の仕組みがとてもよく組み立てられていて
前時で行ったことや体験したことがよりいっそう深まっていく時間となります

①3時間目のPA活動
②私自身のライフヒストリーを語る
③石川晋さんと大人トーク対話
④子どもから質問
⑤日誌にふりかえり

この授業については私はノープランで参加
ライブ感を楽しもうと決めていたからです
熱帯魚やインドの話など多少どうでもいいような話をしたものの
ちゃんと私の小学校の先生という仕事に収束されるような対話となりました
ふりかえってみるとこの時間がとてもよいと好評でした
それは、対話相手である晋さんがよい聴き手であるとともに、子どもたちもよい聴き手であったからだと思います
ライブはその場にいる人たちのコラボレーション
そういう雰囲気を今まで学び創り上げてきたクラスなんだと実感したときでした

子どもたちからの質問の時間ではその手法がとても優れていて
机の横にぶら下がっているミニホワイトボードに聞きたいことを書いてそれを手にとって可視化するものです
普通、挙手した生徒を指名したら発表するまでその話そうとする内容は分かりません
このミニホワイトボードの可視化は教師が全体を見渡すだけでそれぞれが何を聞きたいのかがわかる仕組みです
私はその中から何人が選んで話をしました

その中の一つに「クラスづくりは具体的にはどうやるんですか?」確かこのようなことを質問がありました
その子は将来の先生志望の子
事前にそういう子もいることを聞かされていただけにも、ちゃんと応えなければならないと
つつみかくさず今、クラス作りについて感じていることを話しました
楽しみを共有すること
決してクラスづくりがゴールではないこと
チャレンジのベースとなる温かいクラスがあるから安心して挑戦していけることなど
今日のPAはだからFUNを大切にしたことなど

最後に、ふりかえりジャーナルに感じたことや質問したいことなどを書き、その返事を私がすることに
生徒たちの日誌にたくさんこんなことが書いてありました(一部抜粋)

「私はみんなとわーわーやることはみていることが多いので、実は最初は嫌だなぁと思っていました
でも、実際やってみるとみんなが同じことをやっているので、恥ずかしさとかはなくすごく盛り上がりました」
この気持ちとてもよく分かります
私自身、研修などでエンカウンターと呼ばれるものを無理矢理やらねばいけない場はとても苦痛でしたので
すこしずつほぐしながらやっていきたいと思っていました
また、みんなでやると恥ずかしさもとれる力がアクティビティにはあるんだなぁと思います

「とても楽しかったです。多くの人とコミュニケーションがとれて普段話さない人とも話すことができました。自分の将来はなるべく早く見つけようと思います」
「今日、休みだった子と一緒にクラスみんなで楽しみたかったなぁ」
こういう人と一緒に楽しもうとする気持ち、嬉しいコメントでした

「今まで体験したことのないくらい楽しい授業でした。受験の前にとてもいい息抜きができました」
「ひさしぶりに自由になれたきがしました」
「PAもすごく楽しくて、今、受験が近いからぴりぴりしている人も多かったと思うのでこの時間が合って良かった思います!」
私は、この子たちにちゃんと伝わっていたんだなぁと最後子どもたちから合格をもらえた気がしました
自由とか息抜きって、生徒たちの言葉でみょうに上手に言い表してくれていました

ながながと書いてしまいましたが、長文最後まで読んでくださりありがとうございました
まだまだ、言葉にできないような観てきたことや感じたことがたくさんあります
そういったものを今度は少しずつ目の前の子どもたちに返していけたらと思います

ここにて北海道の参観のふりかえりはひとまず終わらせていただきます
石川晋さんをはじめ、そしてそこでであったたくさんの先生方や生徒たち
ほんとうにありがとうございました

これからもつながっていけそうなすてきな出会いがたくさんありました

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