先生の放課後「結婚式と恩師」

不覚にも涙を流してしまいました
ボクは結婚式に参列してもあまり感動しないほうでした
どちらかというと幸せいっぱいで愉快な気分のノーテンキなほうでした
でも、今回はちょっと違いました

今回の結婚式は、ボクにとって初めて「教え子」に招かれたもの
席辞表を開いてみるとそこには「新郎恩師」の文字が
なんだか感慨深くじわーと嬉しさがこみ上げてきました

小学校教師のボクが「教え子の結婚式に招かれる」というにはまだまだ若造すぎます
ボクは以前、教職に就く前、相談室勤務していました
そこはいわゆる「不登校」と呼ばれる学校に行けない、行かない子どもたちが集まってくる
小さな相談室でした
学校集団の中ではどうも居心地がわるく、自分の場所や自分らしさを大事にできなかった
そんな子どもたちが集まってきます。

デコボコの子どもたち
小学生から中学生までいました
なかには、高校生やそれ以上の人たちとも交流がありました

その中に、今回新郎の彼がいました
初めて会ったのは、彼が中2のときでした
つっけんどんで人を寄せ付けない雰囲気がありました

相談室に来ては、一人でいつもプレステをやっている子でした
それでも彼は隣の市から自転車で毎日通ってきていました
誰かとかかわりたく、でもプライドが邪魔したり、うまく人と対面するには少し自信がなかったよう

つんけんどんな会話からはじまり、そこから少しずつボクとの交流が始まりました

こちらの思いがストレートに伝わることはめったになく
ボクにとって人と真正面からとことん向き合う貴重な学びの経験となりました
ボク自身悩みながらも、子どもたちの気持ちを少しでも理解しようと奮闘しようとしていました

一緒に卓球をやるようになり、自然と少しずつかかわりが持てるようになってくると
そこから少しずつボクと彼との心の交流がはじまりました
最初は卓球でも気を使いながら負けを演出していたけれど
いつしか、そんな気も使わない関係ができるようになりました
気づくとその時に相談室に通ってきていた子どもたち同士、彼の居場所がありました

相談室での体験は、ボクにとって一番の体験的な学びの場でした
そして、その体験は今のボクの子ども観「できる力をもっている。関係で温めていくこと」の土台となっています

そんな彼もいつしか高校の夜間学校に通うようになり、手に職をつけ就職するようになりました
初めての給料で「飲みに行こう」と誘われたり
「子どもが生まれたよ」と彼とのつながりはずっと続いていました

そこにはあの頃相談室でとことん関わってきた子どもたちがいつも顔をそろえてくれます
今思うと、いつも彼がコネクターとしてみんなの中心になってつなぎ役をしてくれていました
だから、今でもこうして毎年忘年会や、事あるごとに会えることができます



素敵な子どもたちと出会えたなぁ
そんな思いが披露宴に参列しながらずっと感じていました

最後に親族を代表して彼の父親が話を始めました
言葉自体は朴訥としてとても簡素なものでした

でも

一言一言に思いがこもっていました

父親自身、悩んで歩んできたこと、そして、今、息子の成長、たくさんの人たちに祝福されていること
目に涙をうかべ、言葉につまりつまり話をする姿に
ボク自身も同じように彼との思いでが蘇ってきました
父親がメガネをとって涙をぬぐっている姿をみるとボクも涙をこらえきれなくなってしまいました

お父さん、嬉しいだろうなぁ。幸せだろうなぁ。

横を見ると、相談室の頃の子どもたちも同じように目に涙を浮かべていました
もちろん、彼も




あのころの子どもたちももう、20代半ば。
シンガーを目指していたり、植木屋をやっている子、ネイル屋さんを目指す子
そして、もうおっさんにもなっている子も(笑)います

「私たちにとってもいがきさんは恩師だから」

なんだか照れくさくて、すぐに話題をそらしてしまったけれど、嬉しかったなぁ
とことん悩んで等身大でぶつかったからこそ、心が今でもつながっている
ボクの教育の土台を耕してくれた子どもたち


たくさんの人たちとつながって、心まるまるぶつかってかかわれたこと
とても幸せに思います

ボクは、「恩師」なんて重い言葉をいただいたけれど
ボク自身は彼らの中からいつか自然と消えてなくなってしまう存在でいいと思っている

恩師と言ってくれるのは嬉しいけれど、ボクのことなんかすっかり忘れてどんどん先を言ってほしい
そして、いつの日か自立して立派になってずーと昔をふりかえったとき
少しだけ思い出してくれればいい
そんな存在でありたい
彼らの思いでの中でいつまでもピカピカ光っていて教え導く存在でなくていい

どちらかというと、ボクたちの思いでが土台となって、次に進み、成長、自立、そして誰かのためになる素敵な大人になってくれればと願っています

今日は本当に幸せな日だったな

ありがとう

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Comment

昭和の香り | URL | 2011.02.08 21:41
ご無沙汰しております。
先生いいお話を聞かせて頂きました。
いいじゃないですか一生彼の恩師でいましょうよ。
>ボク自身は彼らの中からいつか自然と消えてなくなってしまう存在…
自分にも中学時代、部活の顧問でもあり、また2年の時に担任でもあったお世話になった先生がいます。
今の自分の基礎になる、精神論を身体に叩き込んでもらいました(ちょっと表現が過激ですが)。
現在の消息はつかんでおりませんが、仕事で厳しい事やら、壁に当たる度に、その先生のことを思い出します。
交流はありませんが、心の恩師ですね。
ですから先生、自然になんて消えませんし、消えてはいけません。
いつまでも心に残って、教え子たちを応援しましょう。
個人主義、他人には無関心、他力本願、後は何でしょう?難しい時代になっていますが、このようなお話しを伺うと、まだまだ、なんて漠然と前向きになれます。
こんな話しを始めると、止まらなくなるので、この辺で一旦終わります。
それより、うちの○"○息子がご迷惑をかけています。
日頃から友達は大事にしろと、一番強調して言っているのに…
家内が両お母さんとは幼稚園時代からの付き合いなので、即連絡を入れたようです。
親としてまだまだと思い知らされる出来事です。
先生のお話しからすると、自分が息子を叱る際の状況に似ているような気がします。
ですから自分の接し方に問題があるようです。
子供は良かれ悪かれ、親の真似をします。
先まで考え、行動・発言、接し方も考えていかないといけませんね。
こんな自分ですから、アホ!お前!なんてすぐ口に出しちゃうんですよね…
反省します。
早いもので3学期です、最後の最後までご迷惑をおかけします…
宜しくお願いします。
いがせん | URL | 2011.02.09 21:01
迷惑なんてまったく思っていませんよ~。
子どもはボクにもたくさんのことを教えてくれる本当に大事な小さい先生ですから。
つまずきこそが、一番の学び。
勉強も大事ですが、人と関わりながらいきていくことってもっと大事ですね。
ご理解あるメッセージにいつも心励まされています。
こちらこそ、のこり30日よろしくお願いします。

「こんな話」こそ、大切なこと。
もっとじっくり本気でしたいものです。


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